1971年にオステオパシーの名門校である英国のヨーロピアンオステオパシースクール卒業後、1973年フランスオステオパシー協会を設立,会長となる。メカニカル・リンク(ML)の方法と概念を公にスタートさせたのは1984年で、Eric Prat, DOと共著で「メカニカル・リンク」を出版した。MLは高い評価を受けることとなり、アメリカ、カナダ、ロシア、フランス、ドイツ、イタリアなど数多くの国々で講義を実施している。 また、複数のオステオパシー学校で非常勤講師を務めるほか、パリ大学13の医学部卒業(手技医学とオステオパシー)後、同学部で非常勤講師を務めている。
メカニカル・リンクとは、 様々な解剖学的構造を分析するためのオステオパシーの一手法で、 発生学を根拠として身体の各部は力学的につながっているとして、 脊柱(骨盤、後頭骨を含む)、胸郭、四肢、頭蓋、内臓、動脈・神経系、皮膚など、 身体を8つのユニットとして診るオステオパシーの新しいアプローチです。
メカニカルリンクの特徴は、体の様々な系に対する緻密な検査と 治療のソフトさにあると言えます。
治療は基本的に、リコイルという非常にソフトな刺激によって、その影響を全身に波及させます。
ただし、そうしたソフトな刺激によって全身に影響を与える大前提として、 解剖学や発生学に基づいた、非常に緻密な検査と 優位障害【体の自然治癒を、何が一番制限しているか?】を見つけ出すのに、 多くの時間を割く必要があります。
これはオステオパシー全般に言えることですが、 闇雲に体を押しもんだり、手技を加えるよりも、 本当に治すべきところは何かを見つけ出すことの方が、 本当に『治る』ということを目指すならば、余程大切なことであるというのは、 症状の改善や体の自然治癒を引き出すためには 必要不可欠なことだと思います。
そうしたことを頑なに追及されてきたメカニカルリンクと、その創始者であるポール・ショフールD.O.に触れ、 非常に良い刺激を頂いた研究会でした。
また、今回のテーマはメカニカルリンクのうち、内臓について学びましたが、そのアプローチは非常に緻密なもので、メカニカルリンクを治療のなかで主軸にしていなくても十分役に立つ研究会であったと言えます。メカニカルリンクのひとつの特徴は、体表解剖について非常に緻密に、詳細に学びますので、普段の治療でメカニカルリンクを用いなかったとしても、解剖学的な知識を再確認する意味でも非常に勉強になりました。